空(くう)の世界
私たちはいくつになっても、死ぬまで自分の色眼鏡をかけて外の世界を見て、自分の基準の判断で社会生活を送り、生きています。
この「色眼鏡」は、時々、度の見直しをしたり、色を変えたりするなどをして、メンテナンスをしなければならない時が来るはずです。
そのことを全く意識せずに、ズルズルと年を重ねていくと、最後は恥ずかしい高齢者となってしまうのがオチです。
いつまでも古い価値観のままでいて、新しいやり方を受け入れないとなると、他者や若者世代から疎まれる存在になってしまいます。
これは、どんな場面においても、その色眼鏡を変えないことで、他者との亀裂が入ってしまうことが多く見られます。
例えば、パワハラなどはその一つとも言えるでしょう。自分の権限で部下を支配しようとしたり、自分の思い通りに動かないと怒り出すということも、自分の色眼鏡、つまり自分の価値基準で判断して、その枠外になる物事は排除しようとすることで起きる現象でもあると言えます。
「自分の考えは絶対正しい」「私の言っていることは間違っていない」という思い込みが強いと、相手を批判して排除したくなるものです。
しかし、世の中に「絶対の正しさ」というものはあるのでしょうか?
例えば、人を殺すことは絶対悪でしょうか?
それは、その人の状況や価値基準、環境、人間関係などによって、様々な感情になるのではないでしょうか。
自分の愛する人が殺されたら、犯人を殺してやりたいと全く思わないでしょうか。
事故で愛する人が亡くなったとしたら、加害者や職務中に亡くなったら会社を訴えてやる等の感情はありますか?
昔は仇討ち、敵討ちが許されていた時代もあったので、その当時は人を殺すことは絶対悪ではなかったことでしょう。
時代によって様々な価値基準は移り変わり、その人自身の色眼鏡を他者が変えることは難しいものでもあります。
ですから、同じ現象が起きても、それをどう捉えるかは人それぞれなので、「絶対に正しいこと」は存在しないことになります。
したがって、私たちは「空」の世界に生きている中で、自分たちの色眼鏡をかけて生きているのであり、その世界を決めるのは詰まるところ自分自身なのです。
自分自身の人生を引き受けるのは、自分の責任でもあることをお忘れなきよう。

